MEC食(めっくしょく)という言葉をご存じでしょうか?よく聞くのは低炭水化物ダイエット、低GI食、ローカーボ食といったダイエットの食事法だと思います。
このMEC食とは渡辺信幸さんという沖縄の医師の方が提唱している食事法で、究極の肉食低炭水化物ダイエットです。
私は健康管理士の資格も持っているマニアックな現役美容師ですが、元来の実験好きが高じて1年間徹底してMEC食を貫いた経験がありますので、その実際の効果と危険性の有無について解説していきます。
MEC食で決められた3つのルール
全く肉を食べないよりも、肉を食べるほうが健康に良いというのは近年の常識となりつつある内容です。ところがMEC食はさらにエッジの効いた食材ルールが特徴的で、以下に挙げた3つの食材と量を、必ず毎日食べることが決められています。
- 1日に肉を200グラム(MEET)
- 卵3個(EGG)
- チーズ120g(CHEEZE)
それぞれの食材の頭文字を取ってMEC食と名付けられており、これら3つの食材を決められた量、必ず毎日食べるのが基本的なルールです。なお食べる量の上限は設定されておらず、例えば卵を一日10個食べても構わないという、常識から考えるとなかなかスリルを感じるルールではないでしょうか。
MEC食は野菜を一切食べないの?
決められている分量の肉と卵とチーズを食べることで、人体に必要な必須アミノ酸がすべて摂取できるため、アミノ酸の吸収率における桶理論上、理想的な食事法だと言われます。ちなみに肉類にもビタミンは含まれていますが、この食事内容だとビタミンCが摂取しにくくなるので、小松菜など、炭水化物の少ない緑黄色野菜を食べることでビタミンCだけは補っていくという考え方の食事法です。
つまり、野菜も少しは食べるのでMEC食は完全肉食というわけではありません。
MEC食は炭水化物を一切摂らない?
MEC食は今流行りの言葉でいうところの、プロテインファーストに近い考え方。先づけのように決められたMECの食材を食べ、その後控えめな量の白米なども食べても良いという柔軟なルールです。
つまり白米とおかずを一緒に食べず、おかずになるものを主食として先に食べた後でお米などの炭水化物を食べるという食事の順番になります。
MEC食に危険性はない?
食事法には合う、合わないがあって当然なので一概には言えないことですが、1年間徹底してMEC食を実践した結果としては、健康への問題は起こりませんでした。私は小学生の時から健康オタクだったので徹底菜食&徹底オーガニック食の実践経験もありますが、私にはそちらのほうが合わなかったようです。
菜食主義を実践したときは、気力が全く湧かなくなってしまいました。そのうえ野菜を美味しく食べようと思うと、油もしくは砂糖の力に頼ることが多かったので、筋肉の少ない身体になってしまい、いわゆる隠れ肥満になってしまったのです。
徹底オーガニックはお金がかかりすぎたのと、虫の付いた野菜や玄米が生理的に耐えられなくて、断念せざるを得ませんでした。いずれにしても、野菜の種類が少ない日本で菜食を貫こうと思うと栄養不足を起こしやすいですし、肉を食べないと摂取できないビタミンB12をどうするのか?という課題が残ります。
つまり栄養欠乏のリスクは、完全肉食ではビタミンCの欠乏、完全菜食ではビタミンB12の欠乏リスクが上がるということです。
MEC食を実践して感じた4つのメリット
MEC食最大のメリットは、食べた満足感が非常に大きいということです。からあげを食べても良いダイエットというのは助かりますし、3つの食材のどれをとっても食べ応えとうまみがあります。
そのほかにもMEC食を続けたことによって、以下に挙げた3つのメリットを実感しました。
- 普通の食事よりも塩分の我慢が少ない!
- 予想していたよりも食費がかからない!
- 献立を考える苦労を感じなかった!
普通の食事より塩分の我慢が少ない!
ご飯とおかずという組み合わせで摂る食事では、おかずの塩分が少ないと物足りなさを感じやすいです。しかしMEC食は肉や卵料理を主食として食べるため、薄味でも満足できるというメリットがあります。
予想していたよりも食費がかからない!
MEC食を実践する前は、肉料理が増えるので、食費が上がってしまうことを心配しました。ですがお米の代わりに炒り卵やお豆腐を食べるという方法も使えたので、食費に関してはコントロールが可能です。
献立を考える苦労を感じなかった!
基本的に3つの食材を食べれば、あとは栄養摂取のための献立が不要なので、面倒が少なかったです。どのお肉を食べるか決めて、最低限の青菜だけ選んで…という大変シンプルな献立で済みました。
MEC食を続けて実感した3つのデメリット
ルールがシンプルで、空腹の我慢を強いられないダイエットができるMEC食。私が実践して、一年間で完全MEC食を断念した一番の理由は、栄養云々よりもなによりも飽きることでした。
多くの人が感じると予想されるMEC食のデメリットは以下の3つです。
- 3つの食材のどれかに飽きる!
- 体臭が心配になる!
- 大丈夫だと実感できるまで、野菜を食べないことが不安!
3つの食材のどれかに飽きる!
私の場合はもともとあまり好きでなかったチーズの120gに、だんだんと義務感を感じるようになりました。単純に6Pチーズを毎日平らげていれば良いのですが、それが苦痛になってしまったのです。
他の食材でも、今までの食事法にくらべると食べる総量が多いので、どれかに飽きてしまう人は多いと推察されます。
体臭が心配になる!
MEC食に限らず、低炭水化物系の食事法全般で懸念される問題にケトン臭があります。炭水化物を摂らないことが原因で引き起こされる特有の体臭ですが、自分で自分の体臭は自覚しにくいため、たとえ体臭が出ていなくても不安になる人は多いでしょう。
大丈夫だと実感できるまで、野菜を食べないことが不安!
MEC食は、一般的な常識とは大きく異なる理論による食事法。理論上は野菜を摂らなくても問題がない、むしろ必須アミノ酸の不足は大問題なのですが、頭で理解していても、自分の常識や思い込みを捨てるのには勇気が必要です。
気になるコレステロールや中性脂肪の数値は?
こんなに卵や肉を食べて、血液検査の数値は大丈夫なのかと心配になるのが普通の感覚だと思います。私ももちろん不安でしたが、結果としては全く問題なしでした。総コレステロール量が少し上がりましたが、いずれも正常数値の範囲内だったので、杞憂に終わりました。
MEC食は本当に痩せるの?
MEC食を始める前、私は身長170㎝の体重65㎏でしたが、食事量の制限は一切なしで62㎏で安定しました。これよりも痩せたいと思ったら、食事量の制限も必要になってきます。
私の場合、美容体重寄りでBMIを落とすと風邪をひきやすくなってしまうので、本当はあと3㎏落とすと美容体重ですが、今のままで良いという考えです。
無理をしない、『ゆるMEC』のススメ
どんな食事法にも共通することですが、一つの食事法を徹底して継続するのは本当に大変なことですし、飽きてしまっては続きません。なので時には肉・卵・チーズを意識して食事の中に取り入れながら、色々な食事法に浮気しても良いと思うのです。
たとえば、今日は完全MEC食で行けそうな気分だからやってみよう。明日は飲み会もあるから、あまり意識しないで普通の食事にしようといった風に、柔軟に知恵を取り入れていくことをお勧めします。
まとめ
今現在体調に不安のある人は、良く考えてからMEC食実践の判断をしたほうが良いです。
実践してみた結果、MEC食は決して危険な食事法ではなく、むしろ野菜に偏りすぎる食事法のほうがリスキーだと感じました。
私のように徹底MEC食に飽きてしまう人も多いかもしれないので、一定期間徹底的に実践して、そうでないときは『ゆるMEC』にするのが個人的にはおすすめのやり方です。