美容師なのに「接客」へ苦手意識が強かった私と、どうやって苦手を克服したか

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こんばんは、美テラシーの角谷です。

私は美容学校2年生の途中から、内定が決まった自由が丘の美容室でアルバイトをしていました。

ところが美容室でのアルバイト当日、男性のお客様から怒鳴られるという出来事を経験しています。

それ以来私の中には、「お客様って怖い」というトラウマが10年以上も根付いていたように思います。

その経験があってこそ今の自分があるんだ、と受容できるようになったのは、まだここ数年のことかもしれせん。

今回は私がどのようにして接客への苦手意識を克服してきたのか、長年もがいた履歴を公開します。

目次

美容師なのに接客が怖い。お客様の目を見て話せない

私が男性のお客様から怒鳴られた理由は、もうはっきりとは覚えていません。

そもそも美容室での初接客だったのでガチガチに緊張しており、その状態で何かを聞き返したときに怒鳴られました。

「すいません」と謝ってバックヤードに引っ込み、

先輩から「とりあえず、もう一度謝ってこいよ」と促され、改めて謝りに行ったという流れです。

後日聞いた話では、男性のお客様は全く別の理由で機嫌が悪かったらしく、

そこに私のぎごちない接客が引き金となって怒鳴ったとのことでした。

その後2年半同じ美容室に勤務して、ごく普通に会話ができる関係になれましたが、「お客さんて怖い」という感情だけは根づいてしまいました。

2回目以降に接するお客さんは大丈夫なのですが、はじめて接客する方の時はいつもビクビクしていたのを思い出します。

他の美容師スタッフから「お客さんの目を見ていない」と注意されたこともあったのですが、

脳裏に焼き付いたトラウマの強さを理解してもらえないのが辛かったです。

私でなくとも、美容師としての接客に慣れるまでは、独特の「疲れ」を感じる人が多いのではないでしょうか。

私の場合は、美容師になって2年ぐらいが経過した時期に、「人と全く接しない仕事」へ衝動的に転職したくなったことがあります。

なにせ美容師のサロンワークは勤務時間が長いですし、プライベートとの明確な区別はつけにくいです。

本当の意味で美容師モードをオフにしようと思ったら、自分の髪すら洗えませんからね。

美容師になって最初の1年ぐらいは仕事のオン・オフを明確にしようと試みて、結果無理でした。

なので私は、美容師という生き方へ「同化」する道を選びました。

美容師スタイリストデビュー後、接客スタイルを変えた

都内の大型美容室に勤務していたころ(22~24歳)は、超忙しい店でかつ「お客さんと話せ」という指示があったので、熾烈な修行時代だったと記憶してます。

時間に追われる⇒話す余裕ない⇒先輩美容師に「話せ」と後ろで呟かれる

そんな毎日だったので、特に忙しさがピークの土日になると、気持ちが憂鬱で仕方ありませんでした。

その後派遣美容師を経て、現在住んでいる板橋区の美容室へスタイリストとして転職しました。

最初の3か月ぐらいはお客さんとあまり「話さない」スタイルで接客していたのですが、リピート率が50%前後で伸び悩みました。

その後「何かをケアしないとマズい」と考えて人気のあった先輩美容師を観察していると、あることに気づいたのです。

美容師目線で技術レベルが高い美容師よりも、お客さんと会話が弾んでいる美容師の方が、売上が伸びている。

単純な話で、お客さんから見たら、一定水準以上のスキルを持っている美容師の違いは明確にわからないということです。

技術を深めること以上に、自分がやっている技術の価値(意味)を言葉で伝えないと、お客さんには良さが伝わりませんからね。

それを理解して接客スタイルを刷新してからは、リピート率が80%以上まで上がるようになりました。

私の美容技術がすごく上手かといったら、全くそんなことはありません。

精度の高いカットというよりは、かなり「フィーリング寄り」のカット技術を使います。

仕事のスピードも全体的に遅いか、普通ぐらいだと思うので、少なくとも「すごい技術の美容師」ではないでしょうね。

現在の接客スタイルになったきっかけは3年前

3年ぐらい前に、「合わないお客様」のご来店を、苦渋の決断でお断りするという出来事がありました。

毎月通ってくださって、料金高めのカットカラーをしてくれるお客様だったのですが…。

そのお客様の予約が入るたびに、気分が憂鬱になるようになってしまって。

半年間迷った末に、年明けのタイミングでご来店をお断りしました。

悪い評判を流されるのが気になって、なかなかご来店を断れませんでしたが、本来自分のお店ですから、判断する権利は持っています。

その出来事があってからは、考え方が合わないお客様に、無理して話を合わせない接客スタイルへシフトチェンジしました。

その後5,000円の大幅値上げをしたタイミングで、本当にずっと通ってほしいと思えるお客様だけが残ったと思います。

私は自分とお客様、両方にとって、サロンで過ごす時間は「特別な価値」がある時間でありたいのです。

私がブログとかセミナーとかコンサルとか色々やっていると、お客さんは

「美容師辞めないでくださいね」と懇願してくださいます。

大丈夫です、私は何でもできるほど器用な人じゃないので、今さら簡単に美容師辞められませんから。

何をやっても「マニアック化」する資質が強いようで、他人に投げにくい仕事の深め方ばかりしてしまいます。

19年間美容師をやってきて、サロンワークでの「お客様との会話」という部分に焦点を当てて分析すると、

  1. まず誠意をこめた挨拶
  2. カウンセリングで悩みの焦点と、なりたいビジュアルイメージの共有
  3. 理想の髪型を叶えるための具体的なプランを伝える
  4. これからやる技術の意味(やる理由)を理解してもらう(=前提となる知識の共有)
  5. できないことは根拠付きの説明と、代替案の提案(イメージが似通ったスタイルなら、長さが違ってもOKのことが多い)
  6. お客様に期待させて、期待以上を提供する(=オーバープロミス&オーバーデリバー)
  7. そのお客様にとって、必要な会話&役に立つ内容の雑談で進行
  8. 仕上げで、お客様の得た結果に、自画自賛(笑)の言葉で念押しして、納得度を深めてもらう
  9. 話のテンションは、最初と最後を意識して上げる
  10. ずっとハイテンションはお客さんも疲れるので、力みすぎない
  11. 次回からの明るい見通しを、期間を明確にして提示する(2回目以降プラン)
  12. お客様に必要以上の気を遣わせない見送りの言葉(また来てね的な)

美容師の仕事は基本、この流れを繰り返していくものと理解してます。

「時間の約束を守ること」や「技術を失敗で終わらせない」など、大切な要素はいろいろあるでしょうが、

会話ベースのポイントはこんな感じなんじゃないでしょうか。

実は今でも、対面で目を見て接客するのは苦手

美容室のお客様からは驚かれるのですが、いつでも行くスーパーやコンビニでお会計をしてもらうとき、店員さんの目を直視できないんです。

きっと店員さんからは、いつも来ているのによそよそしい人だと思われているか、なんとも思われていないかのどちらかだと思います。

美容師と顧客の接客が「独特の距離感」で成り立っているという持論

美容室の接客って、顔と顔を突き合わせているようで、実際はすこし距離感が違うんじゃないかな、というのが持論です。

美容師とお客様は、鏡でお互いの姿と言葉(=視覚・聴覚情報)を反射させあって会話していますから。

しかも施術(=触覚)は肌に触れるのと同じに近いので、非常に直接的です。

(ネイルやフェイシャルエステを施術する人は、美容師と感覚が少し違うのかな、とも思います)

まとめ

美容師を19年やってきた今でも、「大勢の前」で話すのは苦手です。

今年は10月に50人規模のWEBセミナー(美容とはあまり関係ない、SEOライティング)を開催したので、

19年来の頑固な「怖いメンタルブロック」が外れつつあります。

プレゼンテーションが得意な人はみな口をそろえて「場慣れ」だと言うので、100回セミナーを繰り返して、慣れるしかありませんね。

 

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この記事を監修した専門家

角谷滉一

  • ヘアケアマイスター1級
  • 健康管理士1級

都内の美容室『Re+(リプラス)』を運営する、管理美容師。美容と健康のスペシャリスト。専門知識のくわしさと洞察の深さに、業界内でも定評がある。

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