カットの上手い美容師の探し方を教えて下さい。
私の髪質がくせ毛で髪の量も多いので、カットの下手な美容師に失敗されると、何をしてもまとまらない髪型になってしまって大変です…。
今までは自分の髪のことをよくわかってくれて、お任せできる美容師さんがいたのですが、仕事の都合で私が遠方に引っ越しをしました。それから半年、毎月違う美容室を渡り歩いていますが、なかなか上手いと思える腕のいい美容師にめぐりあえません。
自分でスタイリングをしても全然まとまらないので、毎朝鏡を見るのが憂鬱です…。
経験年数のあるベテランの美容師さんでもしっくりこないし、若い美容師さんでやっぱり未熟で下手だなと思う人もいます。
どうやって上手い美容師と下手な美容師を見分ければいいかわからないので、教えてください。
あなたの場合は「くせ毛」と「髪の量が多いこと」がお悩みですから、その悩みが得意な美容師を探しましょう。何をもって「カットが上手い美容師」と定義するのかは、あなたが髪に対して抱えている悩みや願望によって変わるものです。
なお、上手さの定義をカットテクニックに絞る場合はショートボブ以下の長さのヘアスタイルを切ると、個人差が顕著に出る傾向にあります。
今回はカットが上手い美容師の判断基準と美容師選びが難しい理由、そしてあなたの悩みを解決して似合う髪型にしてくれる「カットが上手い美容師の見つけ方」を解説していきます。
そもそも「カットが上手い美容師」の定義とは?
美容師の場合、接客やその他の付加価値もお客さんの満足度に大きく関係するため、「技術の習熟度」のみでカットが上手い・下手と定義できないのが難しいところです。あなたにとっては上手い・腕が良いと思う美容師でも、他の人からするとそう思わない場合もあります。
「上手い美容師」を定義するのは意外と困難
同業者である「美容師から見た上手い美容師」というのもまた違うので、ここはひとまとめに定義するのが案外難しい部分です。
今回は「美容室のお客さん」というあなたの立場から見た主観での判断にフォーカスを絞り込み、「何度も通いたいと思える、似合う髪型にしてくれる美容師」のことを「カットがうまい美容師」と定義します。
カットが上手い美容師を見分ける7つの基準
何度もお願いしたくなる美容師を探すとき、お客さんが無意識のうちに美容師へ求めているものは7つあります。これらのどれにウェイトを置くのかは個人の価値観によって分かれますので、あなたがどれを重視する人なのかチェックしてみましょう。
①技術レベルの高さ
「カットがうまい」と聞いて、一番に思い浮かぶのはこの「技術レベルの高さ」でしょう。それを体感させるのは以下に挙げた4つの要素です。
- 迷いがなく、早くて正確なカットをしてくれる
- 正確に左右対象のヘアスタイルが作られている
- ガタガタの仕上がりになってない
- ヘアスタイルが長持ちする
単純に自分に似合っているか、似合っていないかは一般の方でも分かる場合がほとんどです。そのため「似合わせ方」というのはまた別の要素に分類されます。
②流行と定番を理解してくれているか?
女性の髪型は流行の移り変わりが非常に激しく、男性の髪型の流行は女性に比べると変化が緩やかな傾向です。そして流行を表現する以前に「定番スタイル」が前提として存在します。
性別・年齢・長さ別で切り分けをしながら定番スタイルの髪型を作ることができて、更にそこへ「今どき」を感じさせる顔周りの要素。そしてメイク・ヘアカラー・パーマとのコラボレーションが加わわることで、時代遅れに感じさせない「流行のスタイル」が作られます。
③気配りは行き届いているか?
美容師がお客さんに提供するものとは、技術以外ではこの「気配り」によるものがほぼ全て。気配りによって提供される要素は以下に挙げた7つです。
- 触り方が荒っぽくない
- 暑さ寒さなど、環境の快適さへの配慮がある
- 居心地の良さを感じさせてくれる
- 自分の希望を汲み取ってくれる
- 悩む気持ちを理解しようとしてくれる
- お客さん目線と他人目線の、両方を考えてくれる
- ライフスタイルなど、生活背景を想定したスタイル提案をしてくれる
一貫して言える事は、美容師が豊かな想像力を使ってあなたを満足させようとする行為だということです。形のないものですが、これらの有無によってあなたの満足度には大きな違いが出るでしょう。
④自分の好みをすぐに理解してくれるか?
誰にでも「好みの髪型」や「好みの髪の長さ」というものがあるものですし、流行で似合っていても、あなた自身はそれをやりたくないと感じる場合もあるでしょう。もしも流行のスタイルがあなたの好みではなかった場合、それを汲み取って他のヘアスタイルを提案してくれるのか?といった要素も一つの価値基準となります。
⑤美容師の醸す雰囲気
「雰囲気」という表現を使うとかなり抽象的なものに感じますが、それも確かに判断基準として用いられます。言い換えると、「この人になら私の髪を任せても大丈夫そう」という正体不明の安心感のことです。
逆にネガティブな印象を与える雰囲気には5つあり、これらの要素が感じられるとあなたはカットをされる前から不安を感じることでしょう。特に初回来店時は「この人にカットを任せても大丈夫なのかな…」といった不安を感じやすくなります。
- 美容師本人の服装や髪型が、お客さん目線でダサイと感じる
- 清潔感が感じられない
- 太っていたりタバコ臭かったり、不摂生を感じさせる要素
- 自信がなさそうなのが、あなたに伝わってくる
- 高圧的な態度をとる
⑥カットの値段
カットで手痛い失敗経験のある人は「少し高くてもいいから上手な人に切ってほしい」と考える傾向です。失敗経験のない人は「なるべく安くてカットの上手い人はいないかな?」とコスパ重視で探す傾向にあります。
⑦場所やお店のブランド
美容室に付加されるブランド価値には以下に挙げる3つの基準があります。ここに意識の重きを置く人は、ブランド力の有無を「この条件なら私の髪を任せても大丈夫!」という信頼性の担保にしようとする傾向です。
- 立地が表参道や銀座など、場所そのものにブランド価値があるエリアか?
- 有名な人気美容室なのか?
- 美容師個人の実績や、知名度の高さはあるのか?
経験年数や実績とカットの上手い・下手はなぜ比例しない?
店長クラスの美容師にカットしてもらっても「下手だ」と感じる場合もあれば、逆にまだ経験が浅いはずの若い美容師にカットをしてもらっても「うまい」と感じる場合があります。
本来であれば経験も実績も豊富な店長クラスの美容師の方が上手いはずです。なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?
美容師は何歳になっても「勉強」が必須
経験と上手い・下手の相違をもたらす決定的な理由とは勉強を継続しているか否か、それ一つです。美容師は大体5年~10年かけて一通りのことが何でもできる「一人前の美容師」へと成長していきます。
ところが時代は常に移り変わっていくので、新しい技術や流行のスタイル・パーマやカラーの薬剤知識など、多くのことを勉強し続ける必要があるのです。たとえひとたび人気美容師として成功体験を得た美容師でも、勉強することを放棄したその瞬間から、バランスは悪くないけれども古臭い髪型を作る「時代遅れの美容師」に堕落してしまいます。
カットが上手い美容師に共通する6つの特徴とは?
カットの才能がある美容師は「仕上がりの髪型」というゴールまでの最短距離が瞬時に分かります。そのためカットがとにかく早くて、仕上がりも上手いです。
ですがそれは一握りの天才肌の美容師にのみ当てはまること。他にもカットが上手い美容師には、6つの共通点があるのです。
①サイドや前髪から切り始める
美容師は後頭部やサイドなど「他人から見たときにどう見えるか」というポイントに目が行きやすいですが、お客さん本人は自分が正面から見えるところを気します。カットの上手い美容師はこの「お客さんが見るのは正面だ」ということをよく理解しているので、安心感を与えるためにサイドや前髪から切り始める人が多い傾向です。
とはいえ「仕上がりで一番短い場所から切っていく」というカットの原則もあるので一概には言えず、あくまで一つの傾向と理解しておきましょう。
②顔まわりを丁寧に作る
流行や似合わせに最も関係してくるのは「顔周りの髪の毛」。顔型などコンプレックスへの対応にも深く関係する場所なので、顔周りを丁寧に作り込む美容師はカットが上手です。
③美容師自身の持つこだわりと、お客さんの希望を区別して提案する
美容師は職人的な仕事になるので、各々が独自のこだわりを持って仕事をしているものです。しかし、その「美容師のこだわり」と「あなたの希望」が合致していなければ、似合っていてもあなたは満足できないという結果に終わってしまいます。
それを理解した上でヘアスタイルの提案をできる美容師は、上手い美容師だと言えるでしょう。
④「無理」という言葉を簡単に使わない
髪の長さやクセ・ダメージの問題で、あなたが希望する髪型にするのが難しい場合もあります。ですが上手い美容師は「できるようにするための方法」を模索するので、簡単に「無理」という言葉は使わないです。
今の状態では難しくても出来るようになるまでの見通しを伝える。もしくはあなたが好むテイストを察している場合、あなたが好みそうな他のヘアスタイルを提案します。
⑤イメチェンを拒否しない
「イメチェン」は美容師にとって大変プレッシャーのかかる仕事です。美容師の積み重ねてきた経験値が多ければ仕上がりにある程度の予測を立てることはできますが、それでも不確定要素は残ります。
かといって失敗は許されないので、イメチェンという仕事の難易度はとても高いのです。その難しい仕事にやりがいを感じる美容師は、挑戦する意欲を持ち成長し続けている美容師の証拠なので、上手い美容師だと言えるでしょう。
髪が短いほど、ごまかしがきかない
特にショートボブ以下の長さの場合、髪型のバランス・細部のニュアンス・あなたが自分でセットした時のやりやすさがはっきりと分かる傾向があります。髪の長さが短いがゆえに、仕上がりの髪型が生えグセや毛流れの影響をモロに受けてしまいやすいからです。
しかも髪が短いほど、コテで巻くなどして髪の形を変える「セットの力」でカットの不出来を誤魔化すのが難しくなります。つまり、あなた自身も美容師によってこんなにも違いがあるものなんだとはっきり感じやすいということです。
⑥今後を見据えた提案がある
今回のカットをした後、この先に待ち構えているメリットとデメリットを踏まえた提案を出来る美容師は上手い美容師です。つまり「あんなのも出来るし、こんなのも出来ますよ!そうするとこの先はこうなるので、そうなったらこういうことも出来ますが、こんなデメリットも考えられます。」といった具合に、想像力を駆使して「この先を展開させる力」がある美容師は、あなたを何度でも満足させてくれる美容師です。
カットが下手な美容師に共通する5つの特徴とは?
長い経験を積んでいても、いつまでもお客さんに「カットが下手」だと言われ続ける美容師。そういった美容師に共通して見られる特徴が5つあります。
①「前回と同じでいいですか?」を多用する
下手だと言われてしまう美容師は変化を好まず、現状維持や守りに入る傾向が強いため「前回と同じで良いですか?」という言葉を多用します。本来、工夫すれば「小さな変化」は毎回与えることが可能です。それを提供しない美容師は「マンネリ」という問題も引き起こします。
②美容師の好みを押し通そうとする
「今はこれが流行だから」「あなたの場合は絶対これが似合うから」など、あなたの話を聞き入れず、自分の好みを押し通そうとする美容師。いくら美容師自身のセンスが良くても、あなたには不満だけが残ってしまいます。
③「髪質」を理由に断る
美容師にしか分からない、髪質を原因にした断り文句を多用する美容師。そもそもカットだけで対応不可能な場合は、現状説明と同時に髪質の問題をクリアして要望を叶える代替案の提案があっても良いはずです。
④技術の一つ一つが荒っぽい、痛い
単純に他人の感覚に対して鈍感だという証拠ですが、不快感を与える行為に無頓着な美容師は、あなたに不満を残してしまうことでしょう。中には「カットの先生」と呼ばれるような立場の人でも髪の扱いが乱暴な美容師が実在します。
カット技術の精度はその方が高まるのかもしれませんが、美容業はモノではなく人間相手の仕事。仕事の効率や精度も大切ですが、人間に神経が通っていることへの配慮は、美容師経験が豊富になっても忘れてはならないことです。
⑤その場限りの見映えを重視する
コテに頼らないと髪型が成り立たないようなカットを、上手いカットとは呼べないでしょう。最低限、ドライヤーで乾かしただけでも見られる髪型にするのは最低条件です。
芸能人や職業モデルさんは、撮影時にプロのヘアメイクさんが必ずスタイリングをしてくれます。しかしながらヘアメイクさんがアレンジしやすい髪型と、あなたが普段扱いやすい髪型は違うので、あなたがスタイリング出来る髪型にカットしてもらう必要があるのです。
カットが上手い美容師を探す、たった一つの方法とは?
美容師は人気商売なので、カットの上手い美容師ほど予約が取りにくくなるのが必然。一番予約が取りにくいのは「伸び盛りの人」、つまり本来の価値よりも安売りしている人気美容師です。
同じ値段を出すならばカットが上手い人にやってほしい。誰もが同じことを考えるので、丁寧で良い仕事をするのに安売りしている美容師は、予約が集中します。
いつでも予約が取れる=人気のない美容師確定
カットが上手い美容師を見分けるには、ホットペッパービューティーなどWeb予約のシステムがある美容室で個々の予約状況を見る方法が使えます。これによって本当に人気がある美容師なのかを判断することができるのです。
例えばご飯屋さんで、昼ごはん時にガラ空きのお店は美味しくない可能性が非常に高くなりますよね。同様の理由で、いつでも予約が取れる美容師は上手ではない可能性が高くなるのです。
腕の良い美容師に、いつでも自分の好きな時に切ってもらえればそれが一番ですが、誰しも同じ願望を持っています。需要と供給の市場原理は美容師の世界でも正しく機能するので、カットが上手い人気美容師の予約は取りにくくなるのが必然です。
しかもその状況が続くと、いすれその美容師はリピートの顧客で満員になります。最終的に集客の必要性がなくなるので、紹介以外の新規予約をほとんど取らなくなるのです。
むしろ「人気」だと宣伝されているのに、ネット予約を確認するとガラガラの場合は要注意。実際には不人気で、上手くない美容師の可能性が高くなります。
まとめ
人それぞれで違いのある「カットが上手い美容師」の定義。それぞれが美容師に何を求めるのかによって大きく変わる定義です。
スキばさみを使っても、ハサミだけを使うカットでも、あなたが得られた結果に満足出来れば上手い美容師。どんなに有名なカットの先生でも、気に入らない髪型にカットをされたらあなたにとってはものすごく下手な美容師です。
カット技法や演出要素も大事ですが、今回の記事の内容を参考にあなたが何を得られれば満足なのか?を突き詰めることが、美容室ジプシー卒業への一番の近道となるでしょう。
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