髪を動かすだけで頭皮にピリピリ、ヒリヒリとした痛みが走るんですが、何が原因なんでしょうか?
いつも痛いわけではないですが、痛みを感じる時は髪に手ぐしを通すだけでも痛いです。
頭皮を触ってみもそれほど違和感はありません。でも、髪を少しでも引っ張ると痛みを感じるので、どこが悪いのか分からなくて困っています。
この頭皮の痛みは何が原因で、どうすれば良くなるのか教えて下さい。
頭皮が痛くなる原因としてストレスや生活習慣による頭部神経痛が疑われるのが一般的です。それもあり得ますが、もっと単純な原因で痛みを引き起こしているケースが多々あります。
それは負担を与えた頭皮の状態で髪を引っ張ることにより、毛根部が炎症を起こしているからです。そして多くの方は自覚のないまま髪を引っ張っています。
今回は健康管理士と現役美容師である私の知見から、髪を動かすだけで頭皮が痛くなる原因と予防策、今ある痛みをケアできる方法を徹底解説していきます。
髪を触ると頭皮が痛く感じる5つの原因
そもそも「痛みや炎症をを引き起こすほど髪を引っ張っていない」と思う方が多いのではないでしょうか。ですが実際には、髪を触る一連の動作全てに引っ張る力はかかっているのです。
この項目ではなぜ髪を触るだけで頭皮が痛く感じるのか?という原因の部分にフォーカスを当てて、頭皮で一体何が起こっているのか5つの原因を詳しくお伝えします。
1.頭皮ではなく、毛根部にある神経の痛み
髪の毛一本一本の毛根部分には神経があるため、髪を一本でも引っ張ると痛みを感じます。頭皮自体がヒリヒリしないのに髪を触ると痛いときは、毛根部分にある神経が痛みを感じている可能性が高いです。
2.髪を引っ張る力の繰り返しで、毛根は痛みを感じるようになる
髪を束でつかんで引っ張るよりも、一本の髪を抜く時の方がチクリとした痛みを感じます。ところが繰り返し強い力で髪を引っ張ることで、束で髪の毛をつかんだ時でも痛く感じるようになってしまうのです。
3.どの程度の引っ張りで頭皮が痛くなるのか、個人差は大きい
強めの力で一度引っ張っただけで頭皮(毛根)の痛みを感じる人もいれば、何度繰り返し引っ張っても頭皮が痛くならない人もいます。痛みの感じ方(閾値)は個人差が大きいため、どのぐらい髪を引っ張ると頭皮が痛くなるとは一概に言えないです。
4.美容室・理容室へ行った後で頭皮が痛くなる場合もある
髪を切る時にクシでとかされたり、シャンプーのやり方ひとつにしても、実は髪を引っ張る力が加わっています。自分では引っ張られていると感じなくても、頭が動く時はそれなりに髪を引っ張られている証拠です。
5.立毛筋の緊張が続いている
頭頂部には筋肉がなく筋膜のみがありますが、毛根部近くには「鳥肌」を立てる時に使われる立毛筋と呼ばれる小さな筋肉が存在します。
そして「髪を結わく」=「髪の毛を引っ張って頭皮を上に持ち上げる」という動作は、頭の周囲にある大きな筋肉を緩める効果がある動作です。
それと同時に小さな立毛筋たちへ常に緊張を強いることにもつながります。それが結果として頭皮の違和感を引き起こす原因になることがあるのです。
髪を動かして頭皮が痛く感じる人、6つの共通点
髪の長い人や剛毛さんが頭皮の痛みを感じやすいなど諸説ありますが、それよりも個人差が大きい頭皮のデリケートさ加減の影響が大きいです。
ここで挙げた内容に当てはまるものが一つでもある人は、毛穴の神経が炎症を起こすことによる痛みを感じやすい人です。
1.髪の毛の方向が変わると、違和感や痛みがある
多くの日本人は真上から見て、つむじを中心とした時計回りの毛流れを持っています。とはいえ毛流れとは一定ではなく、大変個人差が大きいものです。
髪を動かして頭皮の痛みを感じやすい人は、自然な毛流れではない毛流れにとかすことで、頭皮に違和感や痛みを感じる人が多い傾向にあります。
2.地肌の表面ではなく、毛穴が痛い感じ
毛根部の痛みを感じやすい人は頭皮を触っても痛みを感じず、表面上の変化が見られないことも多いのが特徴的です。(中には何度も繰り返しきつく引っ張られていると、毛穴の周辺が赤くなるタイプの人もいます)
髪を触った時の自覚として感じるのは、地肌というよりも毛穴がピリピリヒリヒリ痛む感覚です。
3.髪を繰り返し引っ張ると、だんだん痛くなる
特にヘアアレンジを繰り返している時や髪のカット中に分かるのが、この髪を引っ張った時の痛みです。最初は何も感じなくても、繰り返しの動作中にだんだんと痛みを感じるようになる場合もあります。
4.痛い部分と痛くない部分がある
頭皮の痛みに悩む人の中には、痛いと感じる部分と全く痛くない場所が分かれるタイプの人もいます。これに大きく関わっていることは、髪を引っ張られる力加減が頭の部位によって違うからです。
例えばポニーテールを結うときには、髪が生えているキワの部分に引っ張る力が集中するため、うなじや生え際の痛みを感じやすくなります。
5.頭が痛くて、ポニーテールを長時間できない
長時間髪を結んでいて何も感じない人と、頭痛がしたり疲れる感じがして早くゴムを外したくなる人に二分されます。
後者の「長い時間髪を結んでいるのが苦手な人」は、頭皮がデリケートで痛みも感じやすい人です。
6.ヘアカラーなど、薬剤の刺激に敏感
髪を染める際に頭皮がしみやすいなど、薬剤の刺激に弱い人は毛根の痛みも感じやすいです。これは頭皮の弱さが大きく影響しています。
そして頭皮が薬剤の刺激に弱いことと髪質は無関係で、硬い髪で頭皮がデリケートな人もいれば、柔らかい髪でもブリーチで全く頭皮の痛みを感じない人も存在するのです。
つまりヘアカラー後の頭皮に違和感を感じる人は、痛みを感じやすいデリケートな頭皮だと言えます。
頭皮の痛みを予防する7つの方法
痛みの感じやすさには個人差があり、体質のようなものなのでそれを変えるのは大変困難。ですが、髪を触るだけで頭皮が痛く感じる状態を予防できる生活習慣がありますので、7つの方法の中から出来るものを取り入れてみましょう。
①重すぎるロングヘアを軽くする
髪が長い人は、髪を下ろしている時にずっと髪を引っ張られているのと同じ状態になります。髪の長さによる重みが毛根に負担をかけるので、レイヤーを入れないロングヘアでも、耳に髪をかけやすくなる程度まで量を減らせると良いです。
②結んで頭が痛い人は、なるべくへアクリップを使う
上の方で結ぶ方が痛くなりにくいのか、下で結んだほうが楽なのかは人によって異なります。絶対にゴムで結ぶ必要のある時以外は、ヘアクリップで髪を上げる方が、毛根に対して引っ張る負担をかけずに済みます。
③痛くなる人は、分け目や毛流れを大きく変えない
いつも同じ場所で分けずに「時々分け目を変えた方が良い」と言われますが、分け目を変えることで皮脂の分泌量が増える、つまり頭皮が刺激を感じているというデータもあります。
そのため毛根の痛さを感じやすい人は、ほんの少し分け目をずらす程度で十分です。
④頭が動くほどの力で髪を引っ張らない
日常動作で髪を引っ張る力をゼロにはできませんが、力加減として適切なのは頭がグイグイ引っ張られない程度の力です。特にドライヤーをかける時はかなりの力で髪を引っ張る人が多いので、思い当たる人は意識してみましょう。
⑤髪をかきあげる動作は、なるべくソフトに
毛根の痛みに敏感な人は、乱暴に髪をかきあげる動作もそれなりの負担になってしまいます。髪が長くもなくて、重くもないのに頭皮が痛い人は髪を触る動作の力加減を見直してみましょう。
頭皮が痛くなりやすいのに頻繁に髪をかきあげるクセがある人は、それを控えた方が良いです。
⑥結んでいた髪をほどいた瞬間は、多少の痛みがある
どんな髪質の人でも、きつめに結んでいた髪をほどく瞬間には大なり小なり痛みを感じます。髪を引っ張られ続け、緊張していた毛根部の立毛筋が一気にゆるんだ反動です。
髪をきつく結んでいるほど、もしくは髪の流れに強く逆らっている時ほど痛いので、気になる人は髪の上げ方を見直してみましょう。
⑦頭皮ケアの習慣を取り入れて、炎症の起こりにくい頭皮に整える
頭皮が痛みを感じやすい人=積極的な頭皮ケアをやった方が良い人です。頭皮や毛根部に炎症を起こしたまま放置していると、女性でも薄毛になる可能性がアップしてしまいます。
痛みを感じやすいデリケートな頭皮なのに、ただシャンプーするだけで何も頭皮のケアをしていないという人は要注意です。低刺激な女性用育毛剤で敏感な頭皮を潤し、炎症が起こりにくい頭皮に整える頭皮ケア習慣を今すぐ取り入れましょう。
髪を動かすだけでも痛い時、頭皮の痛みを早期にケアする4つの具体策
シャンプーをするのも困難なほど頭皮(毛根部)の痛みが強い時は、炎症を和らげるのが最善策です。具体的に何をすると早く頭皮の痛みケアできるのか、4つのケア策をお伝えします。
①髪を結ぶと痛くなる人は、髪をおろす時間を増やす
長時間きつく結ぶ毎日を繰り返すと、頭皮の痛みだけでなく、長期的に考えると毛根の委縮による薄毛を引き起こす可能性が高くなります。特にひっつめ(オールバックのように一つに結わく)は、髪が下向きに生えている人にとっては負担が大きいので注意が必要です。
ずっと結んでいても痛くならない人は過敏にならなくても良いですが、今現在頭皮が痛い人は、なるべく髪を結ばない時間を増やすようにしてみましょう。
特に、普段からヘアアレンジを頻繁にしている人は意識したい内容です。
②数日間、分け目や毛流れを自然な位置に保つ
特にこれを意識したいのは、髪の分け目を変えるだけでもなんとなく一日中違和感を感じる人です。毛根部の痛みが収まるまでは、違和感のないニュートラルな毛流れに戻しましょう。
③数日間、意識的に髪を引っ張る動作を減らす
髪が長くて重い人は、髪が濡れるとますます重くなるため、どうしても引っ張られやすくなります。そしてその後の乾かす動作・まとめる動作でもずっと引っ張りを受けやすいです。
乾かし方は以下の3ステップをおすすめします。
- ヘアクリップで上半分の髪を止める
- 下半分の髪をあまり引っ張らずに乾かす
- その後上半分の髪もおろして乾かす
ちょっとしたことではありますが、ドライヤーで髪を乾かすのは毎日繰り返される習慣なので意識したいことです。
また、髪の長さがないショートヘアの場合でも、頭皮を強くこするような乾かし方は髪を引っ張るのと同じです。痛みが軽減するまでは必要以上の刺激を避けましょう。
④頭皮・毛根の炎症を予防ケアする効果がある「医薬部外品」を使う
医薬部外品のシャンプーなどには、頭皮の炎症をケアする有効成分が配合されています。
髪を触ると頭皮が痛くて、頭皮に触れても痛くない場合は、医薬部外品のシャンプーを使用しても大丈夫な状態です。
ただしずっと頭皮に付けっぱなしになるものなので、スキンケア製品と同じで品質の良い商品を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回の内容は色々な視点から考察しましたが、髪を触って感じる痛みは毛根部の炎症が原因です。
ヘアカラーなど、薬剤の刺激を受けて敏感になった頭皮は特に注意が必要ですし、あなたが普段からやっている何気ない髪を引っ張る動作が頭皮の痛みを助長している場合もあります。
基本的にデリケートな頭皮の人に共通することばかりなので、なるべく髪が引っ張られ過ぎない状態をキープするようにしてみてください。