シャンプークロスやタオルの「嫌なニオイ」がなかなか取れなくて困っています。ちゃんと洗っているつもりなのですが、特にシャンプークロスの「襟」は自分でも臭いが分かる位です。
お客様に衛生的でないと思われてしまうと困るので、アルコールで拭いてみたりしたのですが、いまいち効果を感じません…。しかも消毒用エタノールは高価なので、コストは結構かかってしまっています。
他にも、パーマ液のついたタオルの臭いもなかなか取れなくて、悩んでいます。毎日行うことなので、消毒の手間やコストのことも無視できません。良い対処法があったら教えて下さい。
美容師法によれば、クロス類やタオルは「お客様一人ごとに取り替えること」が義務付けられていますが、特にシャンプークロスの襟に付いた臭いは非常に厄介です。
消毒法を徹底して実施していても、クロスやタオルに臭いが残ることがあります。しかしこれではお客様からの信頼を失ってしまう可能性もあるため、有効な対策が必要です。
検証を重ねた結果、最も現実的でコスパの良い方法として「塩素系漂白剤」を積極的に活用するという結論に至りました。
臭いの原因や他の対処法との比較も行いながら、具体的な方法をお伝えします。これらの対策を取り入れることで、お客様に安心感を提供しつつ、臭いの問題を解決することができるでしょう。
シャンプークロスの嫌な臭いの原因は?
シャンプークロスから発生する嫌な臭いの中で、最も気になるのは襟元の部分です。パーマ液などの匂いがしみ付くこともありますが、圧倒的に多いのは生乾きのような不快な臭いです。
この臭いは雑菌によるものであり、一度染み付いてしまうと取り除くのが難しいものとなります。クロスをすぐに洗って乾かすことが予防策として知られていますが、毎日洗っていても悪臭の発生を完全に防げない場合もあるでしょう。
この問題を解決するため、多くのサロンではニオイが出たらクロスを処分しているかもしれませんが、一般的によく行われている対処法と、その問題点について解説します。
クロスやタオルの嫌な臭いを完全に消臭できない、一般的な6つの対処法
消毒による消臭のために一般的に用いられる6つの対処法がありますが、これらには効果がある一方で、実際には問題点が発生する可能性があります。
- 毎日普通に洗濯用洗剤で洗って干す
- 消毒用エタノールでクロスの襟元を拭く
- なるべくすぐにクロスを乾かす
- 手でこすり洗いをする
- ファブリーズを活用する
- ワイドハイターを活用する
①毎日普通に洗濯用洗剤で洗って干す
これで悪臭が出ないのが一番手間なしで良いのですが、クロスが乾くまでに時間がかかりすぎるため、嫌なにおいが発生しやすくなります。いちど臭くなってしまったクロスは、普通に洗うだけでは臭いが落ちないので実に厄介です。
②消毒用エタノールで、クロスの襟元を拭く
一見効果的なように感じる方法ですが、私の経験上、クロスの襟元の臭いにはあまり効果がありませんでした。そして消毒用エタノールは、美容室で使う消毒法の中では最もコストがかかるというデメリットが大きいです。
③なるべくすぐにクロスを乾かす
これはクロスの臭いが発生してしまう前の「予防」には効果が見込める方法です。しかし、一度シャンプークロスが臭くなってしまった後ではあまり意味をなさなくなってしまいます。
④手でこすり洗いをする
ピンポイントでしっかりと洗えるため、普通に洗うよりは効果がありますが、とにかく手間のかかる方法。クロスの消毒は毎日の業務なので、仕事量が増えてしまって大変です。
⑤ファブリーズを活用する
ファブリーズはもともと消臭専用の製品なので、ある程度の効果は見込めます。ですが最近では、ファブリーズの除菌成分である「Quat」(第4級アンモニウム塩)という成分に毒性があるのではないかという疑いが持たれているので、注意が必要です。
⑥ワイドハイターを活用する
除菌の効果もあるワイドハイターはクロスやタオルの臭いにも効果がありそうです。しかし実際にやってみると、タオルやシャンプークロスの嫌な臭いにはほとんど無力でした。
シャンプークロスの嫌なニオイを簡単・完全に消臭できる唯一の方法
シャンプークロスについてしまった嫌なニオイを最も簡単に消臭することができて、手間のかからない方法となると、やはり塩素系漂白剤の活用が最強。大したことはありませんが、ある程度のコツもあるので、順番にご紹介していきます。
- シャンプークロスを洗濯用ネットに入れる
- 洗濯したい「白タオルと一緒」に洗濯機にぶち込む
- 通常量の洗剤と塩素系漂白剤を入れて同時に洗濯
- クロスを「高速脱水機」にかける
- クロスを干して乾かして完了
①シャンプークロスを洗濯用ネットに入れる
撥水性のあるシャンプークロスを普通に洗濯してしまうと、脱水の際に洗濯機が故障してしまう場合が。ですが「洗濯用ネット」に入れて洗うと、全く問題なく脱水できます。
②洗濯したい「白タオルと一緒」に洗濯機にぶち込む
白タオルの洗濯・消毒も兼ねて、使用済みの洗濯したい白タオルと一緒にシャンプークロスもぶち込んでしまいます。洗濯の二度手間が省けて両方を消臭・消毒できるので、一石二鳥です。
③通常量の洗剤と塩素系漂白剤を入れて同時に洗濯
つまり、「ハイターを入れて、普通に洗濯機で洗濯する」ということ。拍子抜けするほど単純なのですが、クロスの襟元に染み付いて取れなくなった臭いも、この方法であれば確実にしっかりと消臭してくれます。
④クロスを「高速脱水機」にかける
ややマイナーな家電製品なのですが、「ソメラ 高速脱水機」という脱水専用の機械が販売されています。簡単に言うとプールの脱衣所に置かれている水着の脱水機の大型版のようなもの。
これを使うと、タオルは半日ぐらい陰干ししたレベルまで脱水することができますし、クロス類は水滴が一切滴らないレベルまで水が切れます。そのため、タオルやクロスが乾くのに時間がかかってしまってまた臭くなるという、悪臭発生のスパイラルを断ち切ることができます。
⑤クロスを干して乾かして完了
高速脱水機を使用した場合、洗濯し終わったクロスは狭い空間で間隔を空けずに干しても、十分に早く乾いてくれます。限られたサロンのスペースでは、干す場所の確保も大きな問題。
ナイロンクロスと乾燥機は相性が良くないので、避けた方が無難な乾燥法。この干し方で乾かせば、熱に弱いナイロン製のシャンプークロスでも大丈夫です。
カットクロス、カラークロスについた嫌な臭いはどうすれば?
カットクロスやカラークロスはサイズが大きく乾きにくいため、洗濯が大変です。一般的な解決策として、ファブリーズを使う美容室もありますが、殺菌消臭成分の毒性が懸念されるため、お勧めしにくい方法です。
しかし、シャンプークロスと同様に塩素系漂白剤を使って洗濯するという簡単な方法があります。色柄物のクロスの色抜けが心配な方もいるかもしれませんが、結果的に全く影響がないことがわかっています。
もし色抜けが心配なら、洗濯機に水を溜めた後に漂白剤を投入する方法もあります。その後、「高速脱水機」を使って乾燥時間を短縮することで、衛生管理と洗濯の手間の両方を一気に解消できます。
これらの方法を取り入れることで、カットクロスやカラークロスの嫌な臭い問題を解決し、衛生的な環境を維持するのに役立ちます。ただし、漂白剤の使用には注意が必要であり、素材によっては影響がある可能性もあるため、事前にテストを行うことが重要です。
タオルに嫌なにおいが残る原因は別にある
タオルの素材はシャンプークロスなどと比べて乾きやすいため、クロスの臭いとは別の原因があります。タオルに染み付く臭いの最大の原因は、ヘアカラー剤とパーマ剤です。
ヘアカラー剤によるタオルの臭いの染み付きは、タオルにヘアカラー剤がたくさんついたままの状態で洗濯しないことが予防策となります。
さらに厄介なのは、システアミンの配合されたパーマ液が、タオルに付着することで発生する悪臭です。
髪の毛の場合でもシステアミンの悪臭は問題になりますが、タオルも髪と同じ繊維で作られているため、同じ問題が起こります。
特にレンタルサービスの黒タオルは、質の良いものでもシステアミンの悪臭が残っていることが多かったです。
タオルに染み付いたシステアミン(パーマ液)の悪臭を消す2つのコツ
パーマ液によるタオルの悪臭対策について、塩素系漂白剤を使えるケースと使えないケース、それぞれのコツをご紹介します。
① 多めの水量、多めの洗剤で洗濯する(塩素系漂白剤NGの場合)
カラータオルの場合、塩素系漂白剤が使えないため、ニオイが残ってしまいそうな場合は、洗濯するものの量に対して多めの水量と多めの洗剤を使って洗濯します。これにより、しっかりとニオイを洗い落とすことができます。
② 塩素系漂白剤使用OKのカラータオルを活用する
最近では塩素系漂白剤を使用しても色が抜けないカラータオルが、手ごろな価格で購入できるようになっています。高価なものからお手頃なものまで、幅広い選択肢があります。
塩素系漂白剤を使用しても色が抜けないタオルを購入すれば、白いタオルとカラータオルを区別する必要もありません。
全てのタオルを一緒に塩素系漂白剤を使って洗うことが可能になりますので、サロン業務の効率化と簡略化が実現します。
消毒法の違いによって、手間とコストパフォーマンスはどれだけ違う?
臭いの原因菌を殺菌・除菌する方法にはいくつかの選択肢がありますが、サロンワークの業務を大変にしないことも重要なポイントです。以下はそれぞれの方法について手間とコストパフォーマンスの面での違いを見ていきます。
- 消毒用エタノール
- 逆性石けん
- 部分的に塩素系を使う
- 使い捨て
- セスキ酸ソーダ
1.消毒用エタノールによる消毒
- コストがかかり、クロスの襟元を毎回拭き取る手間がかかります。
- 消臭効果は高いが、手間とコスパの面では効率が良くない方法です。
2.逆性石けんによる消毒:
- 嫌なニオイの予防には効果的ですが、すでに染み付いた嫌な臭いの消臭効果は期待できません。
- 今回の対処法としては適切でないと言えます。
3.部分的に塩素系漂白剤をつけて洗う:
- 消臭効果は間違いなしですが、こすり洗いと同様に手間がかかります。
- コスパは良いが、効率は比較的良くない方法となります。
4.安いシャンプークロスを「使い捨て」する:
- 安価なシャンプークロスを使い捨てる方法は衛生的で、消毒の手間が一切かかりません。
- コストはかかりますが、お客様から喜ばれる付加価値を提供できる方法です。
5.セスキ酸ソーダ(アルカリウォッシュ)の活用:
- システアミンの臭いに効果がありますが、つけ置き洗いに時間を要することが欠点です。
- 失敗すると酸っぱいにおいが出ることもあるため、手間と時間を奪いすぎる消臭法です。
これらの方法を比較すると、安いシャンプークロスを使い捨てる方法が、手間とコストパフォーマンスの面で優れていると言えます。ただし、サロンの状況や予算に応じて適切な対策を選択することが重要です。
まとめ
試行錯誤の結果、最もコストパフォーマンスがよく効果的な方法は塩素系漂白剤を活用し、高速脱水機を使用する方法でした。毎日の布片類の消毒は、法律を遵守するためにも必要な業務なので、手間を減らすことが重要です。
洗濯によってクロスの撥水性が落ちることを心配する方もいるかもしれませんが、塩素系漂白剤を使っても使わなくても、毎日洗濯していれば、クロスの撥水性はいずれ落ちるものです。
クロスの枚数が多ければ、一枚のクロスが使用される頻度が少なくなるため、ニオイが発生するリスクも減ります。結果的に素材の劣化も遅くなり、クロスを買い替える期間には、予想するほどの差が出ません。
衛生面でのスキをなくすことで、お客さんの不満を予防し、満足度を向上させることができ、他のサロンとの差をつけることも可能です。
そのためには、クロスの枚数を十分にそろえて、塩素系漂白剤と高速脱水機を活用した消毒法をおすすめします。
これにより、効率的に衛生管理を行い、クロスの臭い問題で悩まされることもなくなるでしょう。ご参考になれば幸いです。