酸熱トリートメントの失敗から判明した7つのデメリット!酸トリの回数を重ねた髪は一体どうなる?

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従来のヘアケアに存在した、トリートメント効果の限界をブレイクスルーできる可能性を秘めた酸熱トリートメント。ブリーチ毛や縮毛矯正で発生したビビり毛の修復などにも効果が見込める一方で、その効果を疑問視する声も聞かれます。

私は「アシッドシェイパー」という酸熱トリートメントが発売された当初ぐらいの時期から、酸熱トリートメントを現在進行形で活用しながら検証しています。その過程ではなぜ起こったのか原因が分からない酸熱トリートメントの失敗も数多く経験しました。

髪質ケアのまとめ記事もあるのですが、今回は私が酸熱トリートメントで数々の失敗を経たことによって感じている酸熱トリートメントのデメリット7つを解説していきます。

目次

酸熱トリートメントで得られる3つのメリット(効果)

私は酸熱トリートメントの在り方について可能性とリスクの両方を感じている人間です。したがって酸熱トリートメントの失敗事例をご紹介する前に、酸熱トリートメントで感じる3つのメリットについても記載します。

  1. くせ毛に対する縮毛矯正以外での新たなアプローチ
  2. 普通のメニュートリートメントが効かない髪にも効果が見込める
  3. 自分の髪じゃない髪質にケアされる

くせ毛に対する縮毛矯正以外での新たなアプローチ法

酸熱トリートメントは、髪を弱酸性に整える技法だと解説するサイトもあります。しかしながら酸熱トリートメントとは、髪を思い切り強い酸で収れんさせた後に熱を加えることで髪の内部に変化をもたらすメカニズムです。

特に現在主流となりつつあるグリオキシル酸という成分がもたらすクセ伸ばし効果は、縮毛矯正が必要だった髪への新しいアプローチ法になりうる技術。縮毛矯正を卒業して、酸熱トリートメントに移行できる人も一定数存在します。

普通のメニュートリートメントが効かない髪にも効果が見込める

従来のトリートメントシステムには持ちを実感できる期間の短さや、傷みすぎた髪ほど効果が持続しにくいというデメリットがありました。酸熱トリートメントは優れた持続性が見込めるので、あなたがトリートメントにお金を払っても良いと思えるような、真新しい価値を実感しやすいでしょう。

自分の髪じゃない髪質にケアされる

縮毛矯正ではないのにクセが目立たなくなり、酸熱トリートメントをした髪特有のツヤツヤサラサラとした髪質に変化する効果。酸熱トリートメントを初体験してその効果を実感した方は、「こんな髪質になったの生まれて初めて!」という感動と衝撃を感じます。

酸熱トリートメントで経験した7つの失敗例

成功した酸熱トリートメントは一目で髪質がケアされたと分かる仕上がりになります。一方でうまくいかなかった時はすぐに原因がわからず、幾度となく悶々とした気持ちにさせられました。

ここでは実際に私が酸熱トリートメントの施術を通して経験してきた7つの失敗事例についてご紹介していきます。

  1. ショートヘアの酸熱トリートメントで縮毛矯正のようなピンピン髪に
  2. 低温のアイロンで酸熱トリートメントして、全然効果が出なかった
  3. 細かくうねるくせ毛も伸びたけど、すぐクセが戻ってしまった
  4. 酸熱を繰り返した髪が、縮毛矯正した髪のような硬さを帯びてきた
  5. お客さんの頭皮がかぶれた
  6. 酸熱トリートメントの後にパーマをかけたら大失敗
  7. ブリーチ3回の髪に酸熱トリートメントのみでは効果を感じなかった

ショートヘアの酸熱トリートメントで縮毛矯正のようなピンピン髪に

70代で黒田千恵子さんのようなショートヘア、湿気の多いときだけ膨張するエイジング毛のお客様に酸熱トリートメントをやった時の失敗です。2か月待っても3か月待っても毛先がツンツンと外に向き続け、かえっておさまりの悪い髪になってしまいました。

アイロンの温度を下げた酸熱トリートメントで全然効果が出なかった

40代で硬くて髪の多いミディアムヘアで、うねりとともに膨張する髪質のお客様に酸熱トリートメントをやった時の失敗です。白髪が浮きやすい髪質で何度も全体染めを繰り返していたので、3回目の酸熱トリートメントで怖くなってアイロンの温度を200度→180度に下げました。

その結果、髪の収まりが2回目までと比べてイマイチになってしまい、うねりが生み出すパサつきも抑えきれなかったです。

細かくうねるくせ毛も伸びたけれど、すぐクセが戻ってしまった

本来なら縮毛矯正でやったほうが良いかな、と思う髪を濃度の高いグリオキシル酸と220度の高温アイロンで伸ばそうと試みて起こった失敗です。仕上がりではクセが伸びていたのですが、2週間も経たないうちにクセが戻ってしまい、縮毛矯正でやり直しをすることになってしまいました。

酸熱を繰り返した髪が、縮毛矯正した髪のような硬さを帯びてきた

50代で髪が柔らかく、チリつく細い髪と膨張するやや太い髪が混在したロングヘアで酸熱トリートメントを繰り返した結果起こった失敗です。毎回高温のアイロンを毛先まで通しても、縮毛矯正のようにチリチリ髪になってしまうということはありませんでした。

その代わり不自然な縮毛矯正がかかったような髪の硬さを感じるようになってしまいました。

お客さんの頭皮がかぶれた

40代のワンレングスのロングヘアにしているお客様で起こった失敗です。酸熱トリートメントとは相性が良く感じた髪だったので縮毛矯正から卒業できるかもしれないと淡い期待を抱いたにも関わらず、後日になってお客様から後頭部がかぶれてかさぶたになってしまったというご連絡が。

それ以上の大事には至りませんでしたが、その後の酸熱トリートメント継続は中止となりました。

酸熱トリートメントの後にパーマをかけたら大失敗

これは複数回経験している失敗です。酸熱トリートメント直後にパーマをかけようとして失敗したケース、酸熱トリートメントの効いた髪に後日パーマをかけようして失敗したケースの両方を経験しています。

グリオキシル酸の酸熱トリートメントとレブリン酸の酸熱トリートメント両方で経験した失敗です。いずれも髪がパサついて思ったようなパーマにならず、パーマ後のカットで整えてごまかすしかありませんでした。

ブリーチ3回の髪に酸熱トリートメントのみでは効果を感じなかった

20代でクセはほとんどない肩に当たる長さのボブで、ブリーチ履歴3回のお客様に起こった酸熱トリートメントの失敗です。塗れるとフニャフニャになってしまうぐらい傷んだブリーチ3回の髪では、グリオキシル酸による酸熱トリートメントの効果を実感できませんでした。

なんとなく良くなったという程度の実感で、圧倒的にツヤツヤサラサラに戻った!という効果はなかったです。

失敗から判明した酸熱トリートメント7つのデメリット

 

私は何でも試してみてから判断するというスタンスなので、酸熱トリートメントのヤバい失敗は相当数経験している部類です。まだ今後色々と明るみになっていく事実もあると思いますが、現段階では以下に挙げた7つのデメリットを確認できています。

  1. グリオキシル酸の濃い酸熱×超高温は仕上がりが不自然になる
  2. アイロンの温度を低くすると、逆に失敗することがある
  3. 酸熱トリートメントを繰り返すと、パーマはかけられない髪になる
  4. カラーの色落ち&発色難の対応は、勘と経験頼みになってしまう
  5. 素手で薬剤を触ったり、頭皮に付くとかぶれるリスクはある
  6. 酸熱トリートメント後に濡れた髪が臭う度合いは、製品によって差がある
  7. 酸熱トリートメントだけでは効果を感じられない髪がある

グリオキシル酸の濃い酸熱×超高温は仕上がりが不自然になる

このデメリットはカラーをしていない健康毛では起こりにくく、ヘアカラーをしている髪に起こりやすい傾向です。傷んではいませんが、不自然にまっすぐで硬い独特の髪質になるので酸の濃さと使用するアイロンの温度は選ぶ必要があるでしょう。

アイロンの温度を低くすると、逆に失敗することがある

縮毛矯正の概念を払拭できずに酸熱トリートメントを行うと、美容師はアイロンの温度設定を低くしてしまいがち。ところが現段階では、ストレートアイロンの温度が低すぎる場合に効果を感じない失敗が起きています。

酸熱トリートメントを繰り返すと、パーマはかけられない髪になる

繰り返しの酸熱トリートメントがうまくいってサラサラでツヤのある髪が完成すると、その先の願望としてパーマをかけたくなる方も少なくないと思われます。けれども酸熱トリートメントを繰り返して酸熱毛に変化した髪には、パーマが正常にかかりません。

クセと傷みが気にならない髪になれたけれどパーマはあきらめるか、パーマをかけたいから酸熱トリートメントの継続をあきらめるか、現状ではこの二択を迫られます。

カラーの色落ち&発色難の対応は、勘と経験頼みになってしまう

酸熱トリートメントがヘアカラーの発色にどう影響を及ぼすのかについて、美容師の間でも見解が分かれています。ちなみに酸熱トリートメントの影響でヘアカラーの色抜けは必ず起こる問題です。

その後のヘアカラーが濃く入ると主張する美容師も居れば、色が出にくい・仕上がりの色がくすむといった意見も。まだ検証の余地が多く、酸熱トリートメントにおける不確定要素の一つになっています。

素手で薬剤を触ったり、頭皮に付くとかぶれるリスクはある

酸熱トリートメントで最もメジャーに用いられるグリオキシル酸には感作性(アレルギーを引き起こす性質)があります。他にも酸熱トリートメントは強酸性なので、誤って目に入るととても痛いです。

酸熱トリートメント後に濡れた髪が臭う度合いは、製品によって差がある

アイロンで仕上げた後に髪を濡らすと独特の臭いが出ると指摘される酸熱トリートメント。これは有効成分のグリオキシル酸の中に含まれるグリオキシルサール(シュウ酸アルデヒド)という不純物がもたらす匂いです。

次に髪を濡らすまでの時間を空けることや、酸熱トリートメントの直後にヘアカラーをすることで臭さが和らぐと言われています。グリオキシル酸という成分が多く配合された酸熱トリートメント特有のデメリットなので、気になる方は別の成分を使った酸熱トリートメントを試してみましょう。

酸熱トリートメントだけでは効果を感じられない髪がある

髪がパサパサのゴワゴワやクタクタのフニャフニャになってしまう傷み方は、主に髪内部の傷みに起因すると言われます。酸熱トリートメントで髪の構成成分全てがまかなえるわけではないので、傷み方によっては別のトリートメントのほうが有効な場合もあるのです。

まとめ

酸熱トリートメントで髪が酸性に強く偏ることでバサバサした髪になってしまうという意見もあります。とはいうものの、そもそも酸熱トリートメントとは強い酸によって髪を思い切り収れんさせないと効果が出ないメカニズムだというのが、メーカー側の説明です。

まだ未解明のことも多い酸熱トリートメントという新ジャンル。今回シェアした失敗事例から分析したデメリットが、今後のヘアケア技術の進化に役立つことを期待しています。

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この記事を監修した専門家

角谷滉一

  • ヘアケアマイスター1級
  • 健康管理士1級

都内の美容室『Re+(リプラス)』を運営する、管理美容師。美容と健康のスペシャリスト。専門知識のくわしさと洞察の深さに、業界内でも定評がある。

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