美容院で毎回染めるのはお金と時間がかかるので、今は市販のヘアカラーと美容院で染めるのを両方やってます。でもやっぱり美容院だけで染めている時よりも、市販のヘアカラーをすると髪の傷みは感じます…。
これ以上髪が傷むのは嫌なので、なるべく髪を傷めないで市販のヘアカラーも使いたいんですが、一番ダメージが少ない市販のヘアカラーはどれですか?
美容師さんには「毎回美容院でカラーした方が、髪が傷まないですよー」と言われます。
でも自分で染めるのに比べると美容院は何倍も高いし、どうせその方が美容師さんにとってはお金になるからそう言ってるだけなんですよね?
よく誤解されがちなことの一つですが、市販のヘアカラーも美容師が使うプロ専用のヘアカラーも、基本的な染める仕組みは同じです。あなたの髪に合わせた薬剤調合や染め分けを一切せずに塗っていたら、美容院のヘアカラーでも髪は一気に傷みます。
髪が傷むカラーと傷まないカラーで、最も大きく違う一点は脱色作用の有無です。美容院のヘアカラーでも、脱色作用のあるものは髪の傷みを伴います。
たとえ市販のヘアカラーであっても、脱色作用を持たないものは髪がほとんど傷みません。
今回は市販のヘアカラーでどれが傷むもので、どれが最も傷まないものなのか?ということに焦点を絞って解説しますので、美容院のカラーと併用しても髪が傷まない市販カラーが自分で選べるようになりましょう。
髪のダメージが大きいカラーと少ないカラーの違いとは?
髪の傷みに最も大きく関係してくるのは、ヘアカラー剤の持つ脱色作用(ブリーチ力)の有無です。脱色作用が強いヘアカラーほど髪の傷みも大きくなりますが、製品によって大きな差があります。
ですが暗い色に染まっているからと言って、ダメージの少ないカラーとは言えないのがヘアカラーの最もややこしい部分です。次の項目では実例を交えて理由を解説します。
ここは美容師院のカラーと市販カラーの違いを知るために、大変重要となるポイントです。ここだけは読み飛ばすことなく、しっかりと理解しておきましょう。
暗く染まる=髪の傷みが少ないカラーではない
例えばこの2枚並べた画像の髪色を例に挙げると、一枚目は暗く染まった髪、二枚目はそこから「染料のみ」を取り除いた髪です。つまりこの2つの髪は、見た目の明るさが違っても髪の傷み具合は同レベルになります。
色味が暗く染まっていると、「私の髪はまだそんなに傷んでいない」と錯覚しがち。ところが、多くのヘアカラーは仕上がりの明るさとは無関係に、これと同様のメカニズムで染まるのです。
実は市販のヘアカラー剤と美容院のカラー剤で最も違う点はこの部分。次からは、図解を交えてその重要なポイントを解説します。
美容院カラーと市販カラーの共通点と違い
美容院のヘアカラーはこの画像のように、目的の仕上がりの色よりも、もう少しだけ脱色して透明感を出しつつ、薄い色素を入れて色味を作ります。それに対し市販のヘアカラーで染める場合、以下の画像のような仕組みです。
美容院のカラーよりももっと脱色作用を上げて、その分たくさんの色素を入れるのが市販カラーと違う部分です。脱色しながら色を入れるという意味では美容院カラーも市販カラーも同じことをしていると言えます。
一般的な市販カラー剤は、なぜ無駄にたくさん脱色する?
では市販のヘアカラーは、なぜこのような無駄に髪を傷めるような仕組みになっているのでしょうか?それは、こういう仕組みにしたカラー剤の方が仕上がりの色ムラが目立ちにくくなるからです。
本来であれば髪の色ムラを作らないためには、あなたの髪に合わせたカラー剤を準備して、塗り分けをするのが必須事項。すでに染まっている部分の髪と、新しく伸びてきた部分の髪で前提となる髪色が違うため、薬剤調合と塗り分けをしっかり行わないと色ムラができてしまうのです。
色を濁らせて、ムラをなじませている
このようにたくさん脱色して、同時にたくさん色素を入れて「色の濁り」を出すことで、仕上がりの色ムラが目立ちにくくなるという効果が得られます。
引き換えに色の透明感はやや失われてしまいますが、ぱっと見では色ムラが無いように仕上がるのです。
ちなみに市販の暗く染まる白髪染めを5回繰り返した髪の「地毛」は、金髪に近くなっています。
もちろん、その地毛の明るさに相応した髪の傷みが伴っているため、髪が乾いている時はパサパサ、濡らすときしみがひどい状態です。美容院でヘアカラーをする際は、このようなことが起こらないようにするために地毛を必要以上に脱色しない目的で薬剤を使い分けしながら染めています。
これは、一般的な市販のヘアカラーではコントロールできない内容です。ゆえに髪色の明暗とは無関係で、脱色作用がある市販ヘアカラーを無計画に繰り返すことのリスクはお分かりいただけるでしょうか?
市販のヘアカラー剤で髪のダメージが少ない順ランキング
美容院のカラーでも市販のカラーでも、脱色作用の高いヘアカラーのほうが髪の傷みは大きくなりますが、脱色作用を持たないタイプのヘアカラーも数多く流通しています。最もダメージの少ないヘアカラーを探すためには、市販のヘアカラーの種類とその違いについても詳しくなっておくことが必要です。
まずは比較的ダメージの大きい、脱色作用を持つ市販カラーの中でランキングを付けていきます。
脱色作用を持つ市販カラーで、最も傷まないものは?
ドラグストアには数えきれないほどの市販ヘアカラーが陳列されており、種類分けだけでもなんと9種類です。まずは2つに分類分けして絞りこみます。
その2つとは、脱色作用を持つヘアカラーと脱色作用を持たないヘアカラー。脱色作用を持つヘアカラーは4つあり、髪のダメージが大きい順番で以下の通りです。
- ブリーチ
- 泡タイプの市販ヘアカラー
- ジェル・リキッドタイプの市販ヘアカラー
- クリームタイプの市販ヘアカラー
ブリーチがもっともダメージが大きいというのは、イメージが持ちやすいでしょう。②~④のヘアカラーが染まる仕組みと、基本的な成分はほぼ一緒。
では他に何が髪のダメージの違いを生み出すのかというと、剤形の違いです。泡タイプのヘアカラーは否応なしに髪全体にカラー剤が付いてしまいます。
つまり染め分け不可能だという点が、「髪の傷み」という観点では泡カラーの大きなデメリットになってしまうのです。
クリームタイプが最も髪を傷めにくい
ジェル・リキッドタイプのヘアカラーは塗り分けができても時間経過とともに毛先までカラー剤が垂れ落ちてしまうので、塗らないほうが良い場所までカラー剤が付いてしまいがち。それに対しクリームタイプのヘアカラー剤は硬さがあるため最も塗りにくいのですが、新しく伸びてきた髪だけを狙って塗りやすいという特徴があるのです。
そのため脱色作用を持つ市販カラーの中では、仕上がりの明るさに関係なくクリームタイプのカラー剤が最も傷みにくいという結果になります。
なおクリームタイプのヘアカラーで伸びてきた根元を染めるには、ハケを使って塗るよりも、指で置くだけにすること。それが美容師の行う正確な根元のリタッチカラーに近づけるためのコツです。
続いてもっと髪をダメージさせない、脱色作用を持たないタイプの市販カラーの種類と違いについて解説していきます。
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髪のダメージがほぼ全くない!市販カラーのメリットとデメリット
脱色作用を持たない市販カラーの中には、繰り返し毛先まで染めても髪への負担がほどんどないどころか、中にはヘアケア効果を持つものも。どれも髪のダメージのなさはほぼ同じですが、これらは染料の違いによって5種類に分類されますので、それぞれのヘアカラーが持つ特徴とデメリットを順番に解説します。
- カラーシャンプーorカラートリートメント
- ヘアマニキュア
- ヘナ&草木染め
- 暗くするだけのヘアカラー
- 日光で染まるヘアカラー
①カラーシャンプーorカラートリートメント
この種類のヘアカラーは染料がとても小さいため、髪に負担をかけずに髪の中まで染まるのがメリットです。しかもアレルギーを起こさない染料なので、普通のヘアカラーでアレルギーを起こす人でも安心して使えます。
色味の豊富さは特化性能
若い人が鮮やかな髪色を作るために使われるカラーバターやマニックパニックという製品も、実はこの仲間。ブリーチして傷んだ髪に、鮮やかな色を出す方がこのヘアカラーの得意分野です。
ですが染料の小ささゆえに色が抜けやすく、シャンプーのたびにジャンジャン色落ちする傾向が見られます。そのため、バスタイムにトリートメント感覚で気軽に染められる一方で、浴室を汚しやすいというデメリットも併せ持つのです。
②ヘアマニキュア
ヘアマニキュアはアレルギーリスクの低さが最大のメリット。①で解説したカラートリートメントとは真逆で、髪の内側までは染めず、外側だけに色が染まるのが特徴的です。
色の種類は①のカラートリートメントに負けない豊富さを誇ります。色持ちは約1か月持つので短くないですが、シャンプーをするたびに色が出るので夏場は汗をかくと襟を汚してしまうこともあるでしょう。
ヘアマニキュア最大のデメリットは髪には染まりにくく、地肌に付くとすぐに染まりついて落ちにくいという特性です。そのため、画像のように地肌に付かないよう、根元に付かないギリギリから塗る慎重な塗り方が求められます。
③ヘナ&草木染め
混ぜ物のない純粋なヘナは、画像のように特徴的なオレンジ色に染まる染料です。ヘナに含まれるタンニンは髪にハリコシを与える効果を持つので、年齢や髪の傷みで弱った髪を元気にしてくれます。
ヘナや草木染めは通常、乾燥した粉にお湯などを混ぜてペースト状にしてから使いますが、他のヘアカラーと比較して操作性に難があるというデメリットを持ちます。
つまり、製品が塗りやすさを考慮して作られていないために塗った後にクシが通せない・伸びが悪くてペーストがボタっと床に落ちてしまいやすいなど、塗っていてイライラさせられることは多くなるでしょう。
そのうえ放置時間を長めに置かないと染まりが薄くなるというデメリットもあるので、自宅で行う場合はやや面倒さを感じやすいヘアカラーです。なお天然染料へのアレルギーを起こす人もいるので、アレルギーリスクは少しあるということも理解しておきましょう。
④暗くするだけのヘアカラー
いわゆる髪色戻しと呼ばれるヘアカラーなどがこれに該当します。染料は脱色作用を持つヘアカラーと同じですが、そこから脱色力をなくしたヘアカラーです。
美容院では、既に染まっている髪の色を変える際にこの種類のヘアカラーをよく用います。他にもオハグロ式と呼ばれる酸化鉄を含むヘアカラーも脱色力を持たないため、暗くするだけのヘアカラーの一種です。
⑤日光で染まるヘアカラー
これは塩化銀という成分の配合されたヘアカラーで、仕上がる髪色は茶色味のない灰色を濃くしたような黒です。髪を傷めずに染められるのですが、非常に注意が必要なデメリットがあります。
それはこのカラーをしてから脱色作用を持つヘアカラーをすると、全ての髪が濁った緑色になってしまうということ。しかも硬くごわついた手触りになってしまい、一度こうなってしまうと元に戻すのが難しいです。
これで一度でも染めてしまった髪は、緑っぽい色×バサバサ髪の失敗を引き起こすため、美容院でのヘアカラーを断られることもありえます。今後他のヘアカラーをする予定のある人は、このタイプのヘアカラーはやらないほうが良いでしょう。
明るく染められて傷まないヘアカラーって売ってないの?
ヘアカラーによる髪の傷みは、脱色された髪の明るさに比例するものです。これは美容師ならば誰もが理解している大原則ですが、世の多くの方たちは、傷まなくて明るく染められるカラー剤が売っていると錯覚させられています。
ヘアカラーの繰り返しで地毛は明るく、色は濁って暗くなる
左の図ように、光は混ぜれば混ぜるほど明るくなっていく加法混色という原理が働きます。それに対し髪を染めるのは絵の具と同じで、右の図のように色を混ぜれば混ぜるほど黒に近づいていく減法混色の原理が働くのです。
実は脱色作用を持つヘアカラーには、髪のメラニン色素は毎回同じように壊せても、配合されている染料は同じように壊せないという性質があります。
その影響で、同じカラー剤を繰り返し使っていても髪全体ではムラができてしまい根元のほうは暗めの仕上がりに。中間~毛先は残った色素と新たな色素が重なり、濁って暗い色になるという結果になってしまうのです。
これは程度の差こそあれど、市販のヘアカラーでも美容院のヘアカラーでも同じことが起こります。たとえ美容師がプロ専用のヘアカラー剤を使っていても、根元から毛先まで何も薬剤の調整を加えずに毎回同じように繰り返し染めていると髪は著しく傷むのです。
まとめ
今回の内容を読んでいただくと、地毛よりも明るく染める力(脱色作用)を持ったヘアカラーで、「ムラなく簡単・きれいに・傷まず染まるヘアカラー」は存在しないのが当たり前。美容院のヘアカラーでもそれは全く同じで、明るくて良い状態の髪を保つためにはヘアカラー剤の特性と色彩学上、塗り分けが必須であることもお分かりいただけると思います。
現実的な落としどころは地毛よりも明るく染まらなくて良いのであれば「ほぼ全く傷まないヘアカラー」を選ぶ。もしくはクリーム状のカラー剤で根元だけを正確に狙って塗る。2つのどちらかになるでしょう。
ですが美容室で美容師に塗って染めてもらったほうが、何倍も良い結果なのは明白です。何倍も高かったとしても、その価値は十分にあるのではないでしょうか。
最後にご紹介です。
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